Until we meet again.とは?
英語の映画やドラマ、あるいは文学作品の中で、別れのシーンに差し掛かったとき、登場人物がしみじみとした表情でこう言うことがあります。Until we meet again.です。日本語に訳せば、「また会う日まで」「再会するまで」「いつかまた会いましょう」といったニュアンスになります。
シンプルに分解すれば、until(〜するまで)+we(私たちが)+meet(会う)+again(また)という構造で、動詞の省略が起きているフレーズです。完全な文に直せば Until we meet again, farewell.や Until we meet again, take care.のようになりますが、日常表現としては後半を省いた Until we meet again.だけで完結した別れの言葉として定着しています。この表現が持つのは、単なる「さようなら」以上の感情の深さです。再会への希望・名残惜しさ・温かみ・詩的な余韻が一言の中に凝縮されており、まさに「生きた英語の美しさ」を体現しているフレーズといえます。
表現の由来:どこから来た言葉なのか?
Until we meet again.という表現は、非常に長い歴史を持ちます。その起源は19世紀のヴィクトリア朝時代のイギリス英語にまで遡るとされており、当時の手紙や文学作品の結びの言葉として広く使われていました。
特に有名なのは、1918年に発表されたアイルランドの民謡・歌曲「Till We Meet Again」です。第一次世界大戦中に作られたこの曲は、戦地へと赴く兵士と残された家族や恋人たちの切ない別れを歌ったもので、世界中で爆発的に広まりました。この歌の普及によって、Until we meet again.という表現は英語圏全体に深く根付くことになります。
言語的な構造としては、until節が主節を省略した慣用的な副詞節の独立使用という形をとっています。英語文法では本来は主節が必要ですが、こうした別れの挨拶においては主節が文脈から自明であるとして省略されるのが自然です。さようならを意味するGoodbye自体も、もともとは「God be with you(神があなたとともにありますように)」の短縮形であることを考えると、別れの言葉が時代を経て洗練されていく過程はとても興味深いものがあります。
どんな場面で使われるのか?
Until we meet again.が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- 長期間会えなくなる可能性がある友人や家族との別れの場面
- 旅立ちや転勤、留学など人生の節目となる別れのとき
- スピーチやプレゼンテーションの締めくくりとして聴衆に向けて
- 手紙やメールの結びの言葉として、特に文学的・詩的な雰囲気を出したいとき
- 映画や小説の登場人物が感情的な別れを告げる印象的なシーン
共通しているのは、「またいつか必ず会える」という前向きな希望を相手に伝えたいという気持ちです。単に See you later.やBye.と言うよりもはるかに深みがあり、その別れが特別な意味を持つものであることを暗に示しています。とりわけ、次に会える日時が明確でないときや、長い時間をともに過ごした相手と別れるときに使われることが多く、言葉に込められた感情の重さが際立ちます。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:長期出張前の同僚との別れ
A: I'll be in Singapore for the next six months. I'm going to miss everyone here. B: We'll miss you too. Take good care of yourself. Until we meet again! A: 次の六か月間はシンガポールにいます。ここの皆さんが恋しくなるでしょう。 B: こちらも寂しくなりますよ。どうかお体に気をつけて。また会う日まで!
例2:卒業式のスピーチの結び
A: It has been an honor to study alongside all of you. Wherever life takes us, carry these memories in your heart. Until we meet again, my friends. A: 皆さんとともに学べたことは、この上ない名誉でした。人生がどこへ連れて行こうとも、この思い出を心に刻んでいてください。また会う日まで、友よ。
例3:旅行者同士の別れ
A: This trip has been unforgettable. I'm so glad we crossed paths. B: Me too. Who knows, maybe we'll run into each other again someday. Until we meet again! A: この旅は忘れられないものになりました。出会えて本当によかったです。 B: 私もです。いつかまたどこかで会えるかもしれませんね。また会う日まで!
例4:手紙やメールの結び
A: I hope this letter finds you well. I think of our time together often and treasure every moment. Until we meet again, yours truly, Eleanor. A: お元気でいらっしゃることを願っています。共に過ごした時間をよく思い出し、すべての瞬間を大切にしています。また会う日まで、敬具、エレノア。
ニュアンスと使い方の注意点
① フォーマルかつ文学的な響きを持つ表現である
Until we meet again.は、現代の日常英会話の中で頻繁に使われるカジュアルな表現ではありません。やや格式があり、詩的・文学的な響きを持つ表現です。そのため、友人同士の気軽な別れよりも、スピーチや手紙、特別な別れのシーンなどでより自然に映ります。軽いお別れには See you around.やTake care.の方が適しています。
② 再会の可能性を前提としているニュアンス
この表現は、「また会える」という希望や前提を含んでいる点が重要です。Goodbye.が必ずしも再会を前提としないのに対し、Until we meet again.は「次に会うその日まで」という意識が言葉の根底に流れています。そのため、永遠の別れが確定しているような場面よりも、再会の可能性がある別れに使われることが多いです。
③ 類似表現との使い分けを覚えよう
似た意味を持つ別れの表現もいくつか覚えておくと表現の幅が広がります。
- Till we meet again. ― Until の代わりに Till を使った形で、意味はほぼ同じ。よりリズム感があり、歌や詩で使われやすい。
- See you again. ― よりカジュアルで現代的な表現。ポップカルチャーでも広く使われる。
- Farewell. ― 格式のある別れの言葉。再会の含意が薄く、より最終的な別れのニュアンスがある。
- Until next time. ― 比較的カジュアルで使いやすい。再会を明るく期待するニュアンス。
④ 感情のトーンによって印象が変わる
Until we meet again.は、発音のトーンや文脈によって受け取られる感情が大きく異なります。明るく希望に満ちた声で言えば前向きな再会の約束となり、低く感情を抑えて言えば深い哀愁や名残惜しさが滲み出ます。英語学習者としては、このトーンの使い分けを映画やドラマで観察することで、表現力を磨くことができるでしょう。
⑤ 書き言葉でも使いやすい表現
口語だけでなく、手紙・メール・カード・スピーチ原稿など書き言葉においても非常に自然に使える表現です。特に、長い付き合いのある相手への手紙の締めくくりや、感謝の気持ちとともに別れを告げる文章の結びとして用いることで、文章全体に温かみと格調が生まれます。
まとめ
Until we meet again.は、再会への希望・温かみ・詩的な余韻を一言に凝縮した、英語における別れの表現の中でも特に美しいフレーズのひとつです。19世紀から現代に至るまで使われ続けてきたこの言葉には、時代を超えた普遍的な感情が宿っています。
日常会話でそのまま使うには少々格式があるため、使う場面を選ぶことが大切です。スピーチの締め、大切な人への手紙、人生の節目となる特別な別れの場面においてこそ、この表現は最大限の力を発揮します。
また、Till we meet again.やUntil next time.といった類似表現も合わせて覚えておくことで、さまざまな場面における別れの言葉のレパートリーが豊かになります。ぜひ映画や文学作品の中でこのフレーズが使われる瞬間を意識して探してみてください。言葉の背景にある感情の深さを感じ取ることができれば、英語表現への理解がさらに深まるはずです。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。専門は英語教授法。英語学習や英語教育に関する論文、著書、記事多数。
