I didn’t expect to see you.とは?
英語の映画やドラマ、あるいは日常会話の中で、思いがけない場所で知り合いにばったり出会ったときによく聞かれるフレーズがあります。I didn’t expect to see you.もそのひとつです。日本語に訳せば、「あなたに会うとは思っていなかった」「こんなところで会うとは思わなかった」「まさかあなたに会えるとは」といったニュアンスになります。
シンプルに構造を見ると、「I didn’t expect + to不定詞」という形をとっており、「〜するとは思っていなかった」「〜を予期していなかった」という意味を表します。to see you の部分が「あなたに会うこと」を指しており、全体として「あなたに会うことを予期していなかった」という文になります。
このフレーズが興味深いのは、発話時の感情によって意味合いが大きく変わる点です。驚きと喜びを込めて言えば「会えてうれしい、まさかここで会えるとは!」というポジティブな表現になり、冷淡または驚きとともに言えば「あなたに会うとは思っていなかった(困惑している)」というネガティブなニュアンスにもなります。この記事では、表現の仕組みから使われる場面、会話例、注意点まで詳しく解説していきます。
表現の構造:expect to doとはどういう意味か?
まず、この表現の中心にある expect to do という構造を理解しておきましょう。
expectは「〜を予期する」「〜を期待する」「〜だと思う」という意味の動詞です。expect to doで「〜することを予期する・期待する」という意味になります。否定形のdidn’t expectにすることで、「〜するとは思っていなかった」「〜を予期していなかった」という意味に変わります。
I didn’t expect to see you. を分解すると以下のようになります。
- I:私は
- didn’t expect:予期していなかった
- to see you:あなたに会うことを
非常にシンプルな構造ですが、この形は応用が利き、to see youの部分を変えるだけでさまざまな表現が作れます。たとえば I didn’t expect to find this here.(ここでこれを見つけるとは思わなかった)や I didn’t expect to win.(勝てるとは思っていなかった)のように使うことができます。
どんな場面で使われるのか?
I didn’t expect to see you.が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- 旅先や普段は行かない場所で知り合いにばったり出会ったとき
- パーティーや集まりで、来ると思っていなかった人が現れたとき
- 久しぶりに連絡が途絶えていた友人や知人と再会したとき
- 映画やドラマで、登場人物が予期せぬ再会を果たす場面
- ビジネスの場で、予想していなかった相手と顔を合わせたとき
共通しているのは、「予期していなかった出会い」「想定外の再会」という点です。日本語でいえば「あら、こんなところで」「まさかここで会うとは」「会えるとは思ってなかった」に近い感覚です。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:旅先での偶然の出会い
A: I didn't expect to see you here in Paris! B: I know! What a coincidence. Are you here on vacation too? A: パリであなたに会うとは思っていなかったわ! B: ほんとに!すごい偶然だね。あなたも旅行で来てるの?
例2:パーティーでの再会
A: Oh wow, I didn't expect to see you at this party. B: Yeah, Tom invited me at the last minute. Good to see you! A: わあ、このパーティーで会えるとは思わなかったよ。 B: そうなんだ、トムに直前に誘われてね。会えてよかった!
例3:やや緊張した場面での再会
A: I didn't expect to see you here. B: I could say the same thing. It's been a while. A: ここであなたに会うとは思っていなかった。 B: こっちも同じ気持ちよ。久しぶりね。
例4:ビジネスの場での出会い
A: I didn't expect to see you at this conference. B: I just transferred to the Tokyo branch. Funny running into you here. A: この会議であなたに会うとは思いませんでした。 B: 先日東京支社に異動になったんです。こんなところでお会いするとは。
ニュアンスと使い方の注意点
① 感情によってニュアンスが大きく変わる
最も重要な点として、I didn’t expect to see you.は、発話者の感情やトーンによってポジティブにもネガティブにもなります。笑顔で明るく言えば「会えてうれしい、びっくりした!」という喜びの表現になります。一方、冷たいトーンや驚いた様子で言えば「なぜここにいるの?」「会うとは思っていなかった(困惑)」というニュアンスにもなります。英語学習者は、このトーンの使い分けを意識することが大切です。
② 感情を補足する言葉を加えると自然になる
実際の会話では、感情を明確にするために言葉を補足することが多いです。
- I didn’t expect to see you here. What a nice surprise!(ここで会えるとは。なんて嬉しいサプライズ!)
- I didn’t expect to see you. It’s so good to see you again!(会えるとは思わなかった。また会えて本当によかった!)
- I didn’t expect to see you here, of all places.(よりによってここで会うとは思わなかった)
③ 似た表現との違いを覚えよう
似たような意味の表現と比較してみましょう。
- What a surprise to see you!(会えてびっくり!)― よりポジティブで感情が前面に出た表現
- Fancy seeing you here!(こんなところで会うなんて!)― イギリス英語的でやや古風、親しみのある表現
- What are you doing here?(なんでここにいるの?)― 状況によっては不審に思っているニュアンスになる場合も
- Long time no see!(久しぶり!)― 再会の挨拶として広く使われるが、予期していなかったニュアンスは含まない
④ of all placesを加えると驚きが強調される
I didn’t expect to see you here, of all places. のように of all places(よりによってこんな場所で)を付け加えると、その場所での出会いがいかに予想外であるかを強調することができます。似た表現として of all people(よりによってあなたに)というものもあり、I didn’t expect to see you, of all people. とすると「よりによってあなたに会うとは思わなかった」という強い驚きを表せます。
⑤ 過去形と現在形の違いに注意
I didn’t expect to see you.は過去形ですが、I don’t expect to see you. とすると「あなたに会えるとは思っていない(これから先に)」という意味になり、ニュアンスが大きく変わります。会話の中で出会ったときに使うのは過去形の I didn’t expect to see you. が自然です。
まとめ
I didn’t expect to see you.は、予期せぬ出会いや再会を表す、日常英会話で非常によく使われるフレーズです。構造はシンプルでありながら、感情のトーンによってポジティブにもネガティブにもなる奥深い表現です。
応用として、to see youの部分をさまざまな動詞フレーズに置き換えることで、幅広い「予期していなかった」状況を表すことができます。映画やドラマの中でこのフレーズが登場したとき、キャラクターの表情やトーンに注目しながら聞いてみると、英語のニュアンス理解がさらに深まるはずです。ぜひ積極的に使ってみてください。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。専門は英語教授法。英語学習や英語教育に関する論文、著書、記事多数。
