Give me one more chance.とは?
英語の映画やドラマ、あるいは日常会話の中で、誰かが必死に懇願するシーンでよく耳にするフレーズがあります。Give me one more chance.もそのひとつです。日本語に訳せば、「もう一度チャンスをください」「もう一回だけ機会をくれ」「やり直させてほしい」といったニュアンスになります。
シンプルな命令文の形をしていますが、実際には命令ではなく切実なお願い・懇願を表します。Give me ~という構造に、one more(もう一つの、あと一回の)という表現が組み合わさることで、「これまでのチャンスを無駄にしてしまったが、それでも最後にもう一度だけ」という深い意味が生まれます。日本語で言えば「もう一度だけ、お願いします」という必死さや誠実さが伝わってくる表現です。
ネイティブスピーカーが後悔や謝罪の気持ちとともに相手に訴えかけるとき、あるいは真剣にやり直しを求めるときに使われる表現で、まさに人間関係の機微を映した「生きた英語」の代表格といえます。この記事では、この表現の構造から使われる場面、会話例、注意点まで詳しく解説していきます。
表現の構造:なぜone moreなのか?
まず、このフレーズの核心部分であるone moreについて理解しておきましょう。
one moreは「もう一つ」「あと一回」を意味する非常によく使われる英語表現です。one more coffee(コーヒーをもう一杯)、one more question(もう一つ質問)のように、日常のあらゆる場面で登場します。ところがGive me one more chance.の文脈では、この一言が「これが最後の機会かもしれない」「すでに何度かチャンスをもらってきた上での、切なる追加のお願い」というニュアンスを強く帯びます。
another chanceという表現も「もう一度チャンスを」という意味になりますが、one moreとanotherの間には微妙な違いがあります。anotherは「別の、もう一つの」というやや客観的な言い方であるのに対し、one moreは「あと一回だけ」という切迫感や限定感を含みます。Give me another chance.よりもGive me one more chance.のほうが、感情的な重みと必死さが伝わりやすい表現です。
また、Give me ~という命令文の形は英語では依頼・要求の場面でも広く使われ、Please give me one more chance.とすることでさらに丁寧さが増します。
どんな場面で使われるのか?
Give me one more chance.が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- 恋人や配偶者との関係が壊れそうなとき、関係の修復を懇願する場面
- 仕事や試験でミスをしてしまい、上司や担当者に再挑戦を求める場面
- 友人や家族との信頼を損ない、もう一度信じてもらおうとする場面
- スポーツや競技の場で、もう一度プレーの機会を求める場面
- ビジネスの交渉や提案が失敗に終わり、再度の機会を請う場面
共通しているのは、「過去に何らかの失敗や過ちがあった」「それでも諦めずにやり直したい」「相手の判断に委ねる謙虚さがある」という点です。単なる機会の要求ではなく、後悔と希望が混ざり合った感情表現です。
映画やドラマでは、別れを告げられた主人公が相手に訴える場面や、解雇を言い渡された社員が上司に懇願する場面でよく登場します。この表現が登場するとき、その場面には必ず人間的な感情のドラマがあります。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:恋人関係の場面
A: I'm done. I can't keep doing this. B: Please, give me one more chance. I know I messed up, but I'll change. I promise. A: もう終わりにする。こんな状況を続けられないわ。 B: お願いだ、もう一度だけチャンスをくれ。失敗したのはわかってる、でも変わるから。約束する。
例2:職場でのミス後
A: Your performance this quarter has been really disappointing. B: I understand, and I take full responsibility. But please give me one more chance to prove myself. A: 今四半期の成績は本当にがっかりするものでした。 B: 理解しています、全責任を受け入れます。でもどうか、自分を証明するためにもう一度チャンスをください。
例3:友人との関係修復
A: I trusted you and you let me down again. B: I know, and I'm so sorry. Just give me one more chance. I won't let you down this time. A: あなたを信頼していたのに、また裏切られた。 B: わかってる、本当にごめん。もう一度だけチャンスをください。今度は絶対に失望させないから。
例4:試験や審査の場面
A: I'm afraid you didn't pass the evaluation. B: Please, give me one more chance. I've been practicing every day since last time. A: 残念ながら今回の審査は不合格です。 B: お願いです、もう一度チャンスをいただけませんか。前回からずっと毎日練習してきました。
ニュアンスと使い方の注意点
① 命令文の形でも失礼にならない理由
Give me one more chance.は文法的には命令文ですが、この文脈では命令ではなく懇願・嘆願の表現として機能します。英語では感情が込もったお願いを命令文の形で表すことが珍しくありません。ただし、より丁寧に表現したい場合はPlease give me one more chance.やCould you give me one more chance?とすることで、丁寧さと柔らかさが増します。
② 類似表現との使い分け
似た意味を持つ表現もあわせて覚えておきましょう。
- Give me another chance. ― 同じ意味だがone moreほどの切迫感はやや少ない
- Please let me try again. ― 「もう一度やらせてください」と行動に焦点を当てた表現
- I deserve a second chance. ― 「私には二度目のチャンスを得る資格がある」とやや主張が強い
- Don’t give up on me. ― 「私を見捨てないで」という感情的な訴えに近い表現
③ 歌や文学にも登場する表現
Give me one more chance.は英語圏のポップソングや映画タイトルにも頻繁に登場します。それだけ人間の普遍的な感情、つまり「やり直したい」「後悔している」「諦めたくない」という気持ちを凝縮したフレーズとして広く共感されているのです。英語学習者にとっても、感情移入しながら覚えやすい表現といえます。
④ トーンの変化に注意
同じGive me one more chance.でも、声のトーンや表情によって受け取られ方は大きく変わります。静かに、しかし真剣に言えば誠実な懇願に聞こえ、感情をあらわにして言えばより切実な訴えに聞こえます。英語学習者としては、ただ言葉を覚えるだけでなく、どんな感情をのせるかを意識してみることが大切です。
まとめ
Give me one more chance.は、後悔・誠実さ・希望が一つに凝縮された、非常に感情豊かなフレーズです。恋愛、仕事、友情、あらゆる人間関係の場面で登場するため、英語学習者にとっても身近で覚えやすい表現です。
one moreというたった二語が生み出す「これが最後かもしれない」という切実さを理解することで、この表現の本当の重みが伝わってきます。映画やドラマの中でこのフレーズが登場したとき、ぜひその場面の感情とあわせて味わってみてください。きっと表現の深さが実感できるはずです。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。専門は英語教授法。英語学習や英語教育に関する論文、著書、記事多数。
