How is that even possible?とは?
英語の映画やドラマ、あるいは日常会話の中で、信じられない出来事に直面した人物がとっさに口にするフレーズがあります。How is that even possible?もそのひとつです。日本語に訳せば、「それって一体どうやったら可能なの?」「そんなことありえるの?」「どうしてそんなことができるんだ?」といったニュアンスになります。
シンプルに言えば How is that possible?(それはどうやって可能なの?)という疑問文に、「even」という強調の副詞が加わったものです。この一語を加えるだけで、純粋な方法への疑問から、驚き・不信感・困惑・ある種の感嘆が前面に出たフレーズへと変わります。日本語で言えば「どうやって可能なの?」ではなく「そんなことが一体どうして起こりえるんだ!?」に近い強さがあります。
ネイティブスピーカーが目の前の現実をとても信じられないとき、あるいは常識や論理を大きく超えた出来事に遭遇したときに思わず口をついて出る表現で、まさに「生きた英語」の代表格といえます。この記事では、この表現の構造から使われる場面、会話例、注意点まで詳しく解説していきます。
表現の構造:evenはどんな働きをするのか?
まず、この表現の核心部分であるevenについて理解しておきましょう。
evenはもともと「〜でさえ」「〜ですら」という意味を持つ副詞です。ところが英語では、否定文や疑問文の中に挿入することで、「普通に考えればそうはならないはずなのに」「常識的に見てもありえない」という含意を加える働きをします。How is that even possible?のevenは、「そもそも可能であること自体がおかしい」という話者の強い驚きと不信感を一言で表現しているのです。
この使い方は、いわゆるemphatic even(強調のeven)と呼ばれる用法で、日常会話で非常に頻繁に登場します。That doesn’t even make sense.(それはそもそも意味をなさない)やI can’t even believe it.(もう信じられない)なども同様の構造を持つ仲間です。ただし How is that even possible? は、その中でも特に「論理的・物理的・常識的にありえない」という強烈な驚きを表現するフレーズとして定着しています。
どんな場面で使われるのか?
How is that even possible?が登場する典型的な場面を具体的に見てみましょう。
- スポーツの試合で、信じられないような記録や技が披露されたとき
- 科学的・論理的に不可能に思えることが実際に起きたとき
- 誰かが短時間で信じがたい量の作業を終えたとき
- 統計やデータが直感に反する結果を示しているとき
- ゲームや映画の中で非現実的な出来事が起きたとき
共通しているのは、「常識や予測をはるかに超えている」「論理的に説明がつかない」「驚きが感情として溢れ出ている」という点です。単純に方法を尋ねる How did you do that?(どうやったの?)とは異なり、How is that even possible?には必ず強い感情的な驚きが伴っています。
会話例
実際の使われ方を、いくつかの場面別会話例で確認しましょう。
例1:スポーツの場面
A: He finished the marathon in under two hours! B: How is that even possible? That's absolutely incredible. A: 彼マラソンを2時間以内で完走したんだって! B: そんなことありえるの?本当に信じられない。
例2:仕事の場面
A: She finished the entire project in one night. B: How is that even possible? It was supposed to take a week. A: 彼女、プロジェクト全部を一晩で終わらせたんだよ。 B: どうしたらそんなことができるんだ?1週間かかるはずだったのに。
例3:テクノロジーに驚く場面
A: This app translates any language in real time with no delay. B: How is that even possible? The technology is mind-blowing. A: このアプリ、どんな言語でもリアルタイムで遅延なく翻訳するんだよ。 B: そんなことがどうして可能なんだ?技術的に衝撃的すぎる。
例4:日常の驚き
A: He ate five large pizzas by himself. B: How is that even possible? He's so thin! A: 彼一人でLサイズのピザを5枚食べたんだって。 B: どうしたらそんなことできるの?あんなに細いのに!
ニュアンスと使い方の注意点
① ポジティブにもネガティブにも使える
重要な特徴として、How is that even possible?は、驚きの感情が良い意味でも悪い意味でも使える非常に汎用性の高い表現です。素晴らしい技術や才能に感嘆するときにも、到底信じられない悪い状況に直面したときにも使えます。文脈と声のトーンで、感動なのか困惑・怒りなのかが決まります。
② ソフトな言い換えも覚えておこう
より穏やかな表現や、フォーマルな場面では以下のような代替表現を使いましょう。
- How is that possible?(それはどうして可能なの?)― evenを省いたシンプルで落ち着いたバージョン
- That’s unbelievable.(信じられない)― 驚きをシンプルに伝える表現
- I can hardly believe it.(ほとんど信じられません)― やや丁寧でフォーマルな響き
- That seems impossible.(それは不可能に思えます)― 冷静さを保ったニュートラルな表現
③ evenの位置に注目しよう
How is that even possible?のevenは、possible(可能)という語を修飾するために直前に置かれています。evenの位置を変えると意味や強調のポイントが微妙に変わる場合があります。英語学習者としては、このevenがどの語を強調しているかを意識して読むと、表現への理解が深まります。
④ 短縮形や派生表現
日常会話では That’s not even possible.(そんなこと可能なわけがない)や、How is any of this even possible?(これの何一つどうして起こりえるんだ?)のように範囲を広げた形でも使われます。また How is that humanly possible?(人間的にどうしてそれが可能なんだ?)という強調表現も非常によく使われる派生形です。
まとめ
How is that even possible?は、驚き・不信感・感嘆が一言に凝縮された非常にパワフルなフレーズです。evenというたった一語が加わることで、単純な疑問が強い感情表現へと変化する好例であり、英語における副詞の働きを学ぶ上でも非常に教育的なフレーズといえます。
ポジティブにもネガティブにも使えるため、使う場面を選ばず自然に活用できる点が大きな魅力です。ぜひ映画やドラマの中でこのフレーズが登場する場面を意識して聞き、どんな感情でどんなトーンで発せられているかを観察してみてください。表現力とリスニング力の両方を効果的に鍛えることができるはずです。

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。専門は英語教授法。英語学習や英語教育に関する論文、著書、記事多数。
